モーニング娘。’14コンサートツアー秋 GIVE ME MORE LOVE 〜

第8代リーダー道重さゆみが11月26日の横浜アリーナでのコンサートをもって4329日在籍したモーニング娘。を卒業しました。

横浜アリーナは日本全国はもちろん、海外からも駆けつけた12,000人のファンで埋まり、日本、ソウル、台湾計34箇所の映画館ではライブビューイングで見守るたくさんの人、さらにはスカパーで完全生中継。私は新静岡のザートで見ていました。

卒業後は無期限休業。もしかしたらもう二度と会えないかもしれないと思って臨んだ、あまりにも濃い3時間で、3日経っても涙が枯れないので、その場で起きたこと、主に自分が感じたところを書き出してみようと思います。

めちゃくちゃ長い上に、ポエム調になってしまうけど許してにゃん。

オープニング、最新シングルかつさゆのラストシングル「TIKI BUN」がはじまった瞬間に、統制のとれたフォーメーションで前へ進んでくる10人の隊列を見て、「ああ、本当にかっこいいな。この10人を見られるのは今日が最後なんて信じられない、信じたくない」って思った。

最初のMCで次のリーダーとサブリーダーの発表。3日前にメンバーには伝えられていたようだけど、そのもっとずっと前からそうなることを意識してやってきた、覚悟を決めた顔の譜久村さんにグッときた。サブリーダーになってしばらくを地獄だったと評した事があったけど、覚悟があっても周りの支えがあっても、たぶんこれから絶対に辛いことがたくさんある。その緊張と不安とそれを見せまいとする決意が伝わってきて、「今後もついていきます」とこちらも引き締まる思い。
サプライズでサブリーダー指名の生田の「誰もがうそっ!て思ったかもしれませんが、これが現実です」には笑わせてもらって、こういうバランスで、サブリーダー続投の気遣い飯窪さんと一緒にふくちゃんを支えていってくれるだろうと安心もした。

彼店の途中で前からの予告どおりついにさゆが鞘師にチュー。会場がどよめく中、曲が終わったあと「みなさん、道重さゆみ、やりました!これで悔いなく卒業できます!」って言われて崩れ落ちたよね、よかったねさゆ。ずっと押さえてたんだもんね。あばばってる鞘師かわいい…。

さゆに花束を渡しに来たゲスト3人。
初代リーダー裕ちゃんの娘愛に涙。コメントでもブログでもたびたびモーニング娘のOGのひとりとして、モーニング娘を愛してるファンへの感謝、頑張ってる現役メンバーへの感謝を言葉にしてくれる。
舞美との距離感でさゆって好き嫌いというか気持ちの距離感が結構表情に出るんだよなと思い出した。なんか最近神格化されてきて以降忘れてたけど。
同期のれいなはとにかく横アリに絵里の卒業コンサートで立ったことすっかり忘れてて、これがキャラクターだな、6期だなと思うと同時に、さゆの記憶力はその気遣いやしゃべりを支える基礎筋力なんだというTweetを思い出した。さゆがいろんな事を語ったから、いくつもの記憶に残るエピソードが生まれたし、モーニング娘という物語の語り部だったんだなと。

ここまでは本当に楽しんで、感慨深くもあり、でも笑えて、という状態でこれまでは日替わりだった曲を13曲?全部入れたスペシャルメドレーが始まる。その4曲目、さゆのソロ曲がはじまる直前に異変が起きた。

会場で見ていた人はすぐには何が起こったかわからなかったみたい。でもライブビューイングで見ていた私は、さゆのもうどう考えても激痛が走ったんだなっていう表情をアップで見てしまった。曲が始まって、もう下半身が全然動かないのを見て、あー、これは前にもあったように足がつったか捻ったかなって思った。
一瞬の不安がその後確信に変わって、まず最初になんでよりにもよって今日なんだ、っていう天を仰ぐような気持ちで。これまでの12年の全部をここで出し切りたいっていう、二度とやり直しのきかないライブでこれはないよと。どんなに悔しいだろうって気持ち。明日の朝、昼まで寝て起きてあー、娘やりきったなって、さゆに思ってほしい。それでネットパトロールしてみんなのライブレポ見てだらだらしてゆっくり休んでほしいってここしばらく考えていたから。
全国で見ている、もしかしたらたまたまスカパーで見ている人がどう見るんだろうってのも不安になった。知らない人にこそすっごくかっこいい今の娘を見て欲しい、崩れるとこを見て欲しくない。ここまでの思考は一瞬。
そして、立ちあがってただ見つめるしかない状態で経過を見守っていて、どうなるんだろう、いつ止めるんだろう、どこではけるんだろうって。でもさゆは笑顔をつくって上半身で踊る。センターステージからサブステージへ移動しながら歌う曲だったはずだけど、さゆだけが動けない。9人と1人になる。

メンバーはさゆの抜けたフォーメーションを埋めながら踊る。泣きそうな顔を一瞬しても、すぐに表情を決めて、決然と踊る。歌う。

カメラさんも照明さんもほんの少しの迷いを経て、リハではなかった動きにとにかくあわせてくる。コンサートをつくっている誰だって主役がけがしたなんて、アクシデントが起きたことなんて知られたくない。まるで最初からそうだったかのように、カメラはさゆの下半身を映さない。

だんだん私は今すごいものを見ているな、これはたぶんずっとずっと語り継がれるような夜になるんだなって。悲しいし、悔しいし、でもかっこよくて、誇らしいようなすごく複雑な感情。

さゆとの2人曲のはじまるときに、前の曲の終わりにほんの少しだけかかるタイミングで一目散にさゆにむかって花道をかけていくふくちゃんの背中を見て、ああ、この人はなんてかっこいいんだろうって思った。その時さゆが微笑んだ。その流れが全部まるでストップモーションのようで、一瞬も見逃せない。そしてそのダッシュがなんにもなかったかのように、当たり前に背中をあわせて歌いだした時にも、ああ、この人はなんて凛々しいんだろうって思ったよ。

長い長いメドレーが終わって、本編最後のブロックがはじまる。一度は出てきたさゆは曲の途中で階段に座った。スタッフが出てきてブーツをスニーカーに履き替えてまた踊る。このタイミングですごくすごく激しい曲が来て、ああ、なんて残酷なんだって思いながら見ていた。でも飛ぶんだよね。すごくいい表情を見せて。そして踊りきって、最後の曲紹介で一瞬悔しくて悔しくてしょうがないって泣きだしそうな顔をして言葉をつまらせた。でも崩れずに「聴いてください」ってしめた。小田ちゃんは泣いてた。でも歌はすごくちゃんと聞こえた。他にもたびたびあったけど、奇跡のように歌詞がはまる瞬間があった。「さあ 悔やんでも仕方ない 生きてるって素晴らしいんだ」。

長い長い暗転のさゆコールのあとアンコールがはじまって、これまで一度もライブで歌わなかった「見返り美人」がかかる。あー、やるんだ。やるんだな。着物になれない下駄でさゆが出てきて。きれいで。9人で歌うさゆを送る歌。12期は初めて娘として舞台でパフォーマンスをした。

メンバーからさゆへのメッセージ。1人目のはがちゃんの言葉のあと、「私はそっちに行けないから、来てもらっていいかな」ってさゆが冗談ぽく言った。はっとした。やっぱそうなんだ。立ってるのでぎりぎりの状態なんだ。でもひとりひとりを受け止めながらセレモニーは続く。

だーいしがぼろぼろ泣きながら、でも笑顔で言う言葉がもうすごい刺さって。みんな毅然とこれまでの感謝とこれからの決意を、泣かずに伝えようとしていた。鞘師の、踊って歌うエースの鞘師が、道重さんに嫉妬していましたって、でも嫉妬する、道重さんに勝ちたいと思える自分が嬉しかったって泣きながらいったので、ああ、この人はこの気概でセンターに立ってるんだな、と思った。さゆもびっくりしてた。どんなに好きでも、負けたくないって気持ちがあって、そう思わせる先輩がいる。かっこいい。

あと2人になったところでもう耐えきれなくなったさゆが「よりにもよって生田のところで」って笑いをとって膝をついた。「照明落としてください」って鋭く言った。その足元を隠すようにそっとメンバーが動いて、コールをあおったのはふくちゃんとだーいしだったと思う。薄暗がりの中で心配そうに見守るヲタは何をしていいのかわからなかった。声をかけていいのかみんなが迷っていた。ただ見守る方がいいんじゃないかって思って息をひそめていた。でも声かけていいんだって言ってもらえて、ただ見つめているだけじゃなくていいんだよって行動で示してくれて、私は救われるような気持ちになった。

照明がついて、当たり前のように生田はしゃべりはじめた。頼もしいなって思ったよ。気の毒そうな顔をしちゃだめだってみんなわかっているけど、はりつめた表情にはなっちゃう。でもあそこで生田のいつもの感じで話だしてくれて、またちゃんと笑いもとって。自分に期待されている事をたぶんわかっている。

途中の暗転でさゆの後ろには椅子がだされていたけど一度も座らなかった。座らなかった椅子を最後の最後に12期メンバーのまりあちゃんが片づけていた。少しだけ迷ったそぶりがあったから、だれが持ってはけるとか決まってなかったと思う。自分の判断でそっと持って出た。ああ、もう舞台に出る人になってるんだなと思った。

最後の最後、さゆはお花畑みたいなめちゃくちゃかわいいドレスでひとり出てきた。少し晴れやかな顔をして、きっとものすごく準備してきた卒業スピーチを始めた。これまでのメンバーは手紙を読むのが多かったけど、さゆは会場を見回しながら、ゆっくり語りかけた。8分間あった。
ほんとに完璧かと思うようなスピーチの中でも印象に残ったのが、「どんなに頑張っても上手くいかないこともあるし、どんなに努力したって報われないことだってあります。だけど、少しずつ前に進めるということに気づくことができた。」ってくだり。本当にくやしかったと思う。ピッチのとれない歌、どんなに動いても筋肉のつかない、今日も言うことをきかない身体。でも表現する人として、カメラに抜かれる表情の豊かさはどんどん進化していた。そして、リーダーになったあと、その背中で、言葉でみんなをひっぱってきた。そして、後輩へ向けて、「(立ったことのないアリーナの)この景色を見せてあげたかったんです」、「そして、これからは私も知らなかったようなもっと大きな景色をみんなには見ていって欲しい。そのときは、みんなから見る景色の一部にさゆみもいると思います」って言った。ああ、この人はなんて美しい言葉を話すのかとぞくっとした。

卒業の時、さゆがなにを歌うか。事前にいろんな憶測があって、でも候補になるような曲はほぼツアーに組み込まれていた。さゆが選んだのは、12年前のオーディションで歌った「赤いフリージア」。むちゃくちゃ下手で当時は音程というものがあるのも知らなかったそうで。何度みても、よくつんくさんこんなのとったよなって話題になったオーディションの課題曲。「それでは、私の人生のはじまりの曲。この曲を歌ってモーニング娘。になりました」って歌い出したさゆの歌は、堂々たるこれぞアイドルで。本人としては不本意な不完全なコンサートだったかもしれないけど、人間くさいところから、神がかってきれいでかわいくてセクシーでかっこいいところまで、全てを見せてさゆは卒業して行きました。後輩の頼もしさまで私たちに見せつけて。

エンドロールを見ながら、もう大の大人が周りに人がいるところでこんなに大声で泣くとは何事かと思うくらい泣いてしまって、それはなんかたくさんの感情がキャパを超えるくらい押し寄せてきて整理がつかなくなったから。感謝とか、悔しさとか、幸せとか、喪失感とか、未来への期待とかいろいろ混ざったなんか。

道重さゆみさん、ご卒業おめでとうございます。

あなたの大好きなモーニング娘。をこれからもずっと好きでいられると、未来への希望を感じさせてくれる素敵な卒業式をありがとう。

とにかくゆっくり休んで、気が向いたらまたしれっと私たちの目の前に姿を表してください。
本当にいままでありがとう。