DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on

「DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る」を観てきました。

ドキュメンタリーとは言え、盛大にネタばれなので、まだ見ていない方はご注意ください。

中森明夫がおもしろいって言ってたから見に行ってみました。
公開から1ヶ月以上たった日曜の午後の回ということで客はそう多くなく、7割くらいが小学生女子の親子連れ。

<見た人、私、の属性>
ASAYANからのハロプロ好き。最近はゆるいPerfume好きという感じ。
AKBは2008年上半期にチームA、チームK、チームBの劇場公演にそれぞれ1回ずつ行ったことがあるくらい。
2007年11月刊行の「48現象」を結構丁寧に読んで、BINGOのPVをちゃんとみたので、当時いたメンバーはだいたいわかる。それ以降のメンバーはあんまりわからない。
CDを買ったことはない。ネットのニュースで総選挙の順位とかくらいは見るけど、意識して追っているわけではない。くらいの興味関心。

という訳で、ファン的にどうだったかはわかりませんし、映像がどのくらい既出なのかとか、ぜんぜんわかんないんですが、私、個人的にとてもおもしろかったです。

<内容>
AKBの2011年を追ったドキュメンタリー。現場の映像とメンバーへのインタビューで構成されている。
東日本大震災被災地支援活動「誰かのために」プロジェクト
・第3回選抜総選挙
・西部ドームコンサート
・じゃんけん選抜
・チーム4のキャプテン謹慎騒動
この他、台湾、香港、レコ大、紅白などにもふれてます。みっちり120分。

2011年を物語る時に震災に触れないというのは無理な話。
だから仙台で被災した研究生にスポットがあたったのも、月に1度、メンバーから6名がこっそり被災地を訪れているのも映像として必要なシーン。
それはさておき、気になったのは総選挙と西部ドームのくだり。あとはチーム4騒動について。

<総選挙>
総選挙はえぐい。
2位の発表の時が一番のハイライト。発表の時、顔をあげている優子と手で顔を覆ってしまっているあっちゃん。「3月のライオン」で、大きな対局では勝ったほうがぼろぼろで負けたほうはすっきりした顔をしているものだ、と書かれていたけどそんな感じ。
人が順位をつけられる。そのことを優子は「私たちにとって、票数とは皆さんの愛です」と表現したけれど、そして叩かれたけど、とにかく順位をつけられる。点数で、お金で、枚数で。
普段は人に優劣をつけることはパラメータを固定しないとやってはいけないとされていて、見ないようにしているけど確かに意識している人の価値の序列を見せつけられる。
誰かから絶えず評価される、上から下まで点検され、値段をつけられる。見られる対象であるということはどういうことなんだろうか。私たちも多かれ少なかれこの舞台には上がっている。興味がないと言えばうそになるのでは?

あっちゃんは虚無。
あっちゃんの何がかわいいかわからない、という話は良く出るし、私もいまいちわからないんだけど、何か特別なものがあるのだろうと思う。その虚ろな感じが秋元康の虚無と呼応しているのかもしれない。
インタビューの中で、自分たちについて「なにとたたかっているんでしょうね?」と逆に問い返すシーンが全編とおして最も印象的。

優子の野心。AKBはステップ。歌手になりたいわけじゃない。
総選挙直後の質問への回答。「わからない」という答えは、わからないのか、わかりたくないのか、答えたくないのか。
しかしAKBabyは気持ち悪すぎてほんと引くからやめたげてください。

<ドーム公演>
西武ドームは凄惨。
スラムダンクの山王戦みたいな展開。
過呼吸熱中症でばたばた倒れるメンバー。いつでも取り出せる過呼吸用のビニール袋、氷嚢、吸入用の酸素、医療スタッフ。舞台裏。
意識が朦朧とした人が長々映され、倒れた人が運ばれるシーンが2時間で何回あっただろうか。
誰もイヤモニ使ってない、歌ってるとかそういうことじゃない。歌ってるわけがないけど、それは問題じゃない。
そうやっておこなわれるステージで私たちは何を見るのか。アイドルを?

<チーム4>
チーム4発足のサプライズ、臨場感。
キャプテンになりたかった島田、なる予定がなかった大場。
昭和のサラリーマンの派閥闘争みたいな、白い巨頭みたいな。
各チームのキャプテンのインタビューもはさみこみつつ。
人を率いるとかってどういうことなのか。
なにものかになりたいとあがく人の姿。ままならない。


かわいいな、と思ったのはジャンケンの時のマリコさまくらいで、あと大家とゆきりんと。大家はちょっと岡井ちゃん。だからというわけではないけど、かわいい、素敵な女の子たちを見せるために作られた映像だとは思えない。
インタビューで、メンバーがいいよどむシーンをわざと採用していると思う。
きれいに泣いているところより、泣きながら過呼吸になってる映像が選ばれていると思う。
そして、常にカメラがまわっていることが、彼女たちの行動にどれくらい影響を及ぼしているのか。意識していないわけはないが、全てを意識することもまた不可能なくらい常に撮られていると思う。

全体をとおして、見せたいものはなんなのか。

タイトルのとおり「Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る」なんでしょうかね。


アイドルってなんだ?
彼女たちは何のために。
生きることに目的はあるのか。

5W1Hで考えると、

Who(誰が)
What(何を)
When(いつ)
Where(どこで)
Why(なぜ)
How(どのように)

アイドルが
闘っている
2011年に
四方がガラス張りのプロレスのリングの上で
私たちにみせるために
えげつなく

そう、何と?
そして、なぜ?
それをお金のためだけというのは難しい。
誰かがやらせている?
私たちが?
本人たちが?
どこを目指している?


あー、ポエムみたいになってきちゃったよ。



とにかくこれはたかみなが好きになるビデオ。


今回はファンにはスポットはあたっていないが、そこも見てみたいな。まったく美しいものにはならないだろうと思うけど、たぶんおもしろいだろう。でもお金にならないし、やらないね。
メンバーのことで一喜一憂し、なんだかんだとお金を使い、パフォーマンスがいまいちと腹をたて、突然やめるようなことになれば涙を流し、そういうものに私はなりたい、ような気がする。

という訳で、自分の感想まとめ終わったから、他の人の感想を探しにネットの大海へ繰り出すのだ。

http://www.2011-akb48.jp/index.html